“tadaima” myself “okaeri” yourself

「ただいまマイセルフ おかえりユアセルフ」

(333mm×242mm 水彩紙/2018年制作)

 

 

自分の気持ちがわからなくなってしまったり。

 

自分が何が好きなのかも忘れてしまったり。

 

そういう状態になってしまうことって、決して変なことじゃないと思います。

誰かのためにっていつもガンバっている人ほど、いつかこの問いにぶつかるかもしれません。

 

絵を描き出す前の私は、まさにそういう状態でした。

 

会社員だった私は、その頃、毎日深夜まで会社に残って、最後にオフィスにカギをかけて帰る生活を送っていました。

 

夜の12時を過ぎることもしばしば。

 

深夜にタクシーで帰宅して、身体を休めるヒマもなく、次の日の朝を迎えてまた出勤するような生活。

がんばることが美徳だった、というより自分の心を麻痺させるくらいに働いていたかったんですよね。

 

 

若かりし日に負った挫折の痛みを、すべて忘れてしまいたかったから。

でもやっぱり心の奥底で、本当の自分は苦しんでいたし、声にならない声をあげていたんですよね。

 

身体もやっぱりそうで、限界まであっという間にいってしまったんです。

 

ある日、誰もいなくなったオフィスで、ひとりでに涙があふれてきて、自分でびっくりしたんです。

止めようと思っても、せきをきってあふれ出した涙を、私は自分の意思で止められませんでした。

 

 

「ああ、これじゃ自分がかわいそうだな」って、その時はじめて思いました。

 

 

それから、自分探しの旅を始めたんです。

 

社会人になってから、だいぶたって、私はその問いに直面せざるをえなくなったんです。

 

「私は、本当は何がしたいんだろう」

「私は、本当は何が好きなんだろう」って。

 

それから紆余曲折ありながら、あるとき偶然、絵を描くという魂の仕事に出会うことができて、今にいたるんです。

 

 

絵を描くことを通じて、一度は見失った自分自身に

もう一度再会して「おかえり」って言えた時、本当の意味で自分が自分になれた気がしたんです。

 

そこまで、私は本当に長い長い遠回りをしました。

 

でも、だからこそ、自分と心のカタチが似ている仲間たちに、私なりに届けられる表現があると思っています。

 

アートの力を、私はそこに使いたいんです。

 

この地球という惑星の上で、出会ってくれた、心のカタチが似ている仲間たちへのメッセージ。

それを自分なりに心を込めて、届け続けること。

 

それが私の仕事であり、目標です。

 

 

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