Orion

「Orion」

(455mm×455mm キャンバス/2018年制作)

 

 

星座の中でも、オリオン座って見つけやすいですよね。

 

子供の頃、遊んでいて遅くなっちゃった帰り道、空に昇っていたオリオン座。

大人になって、残業終わりで遅くなった帰り道、やっぱり空に昇っていたオリオン座。

 

変化の激しい時代だから、余計にかもしれないですけど。

子供時代から変わらずに、ずっとそこにあってくれるものに

無性に心惹かれるところがあります。

 

オリオン座もその一つかもしれません。

 

会社員時代のこと。

そんなことを普段は言わない(どちらかといえばドライな性格の)同僚が

仕事終わりの暗くなった空に、オリオン座を見つけて

子供の頃は、オリオン座を毎日見上げて家路についてたんだって

ふっと話をしてくれたことがあったんです。

 

その瞬間、なんだかその人の子供時代の、空を見上げていた気持ちが

大人の身体の中に戻った感じがして、不思議な感覚があったのを覚えています。

遠い目の奥に、キラっと柔らかい光が輝いていました。

 

「童心」っていう言葉がありますけど

童心って実はなくならずに、ずっと心のどこかにあって

大人になった私たちを、見守ってくれているのかもしれません。

何十年経っても、あの頃と変わらずに空に上るオリオン座のように。

 

お守りみたいなものかもしれないな、とも思います。

もしも疲れてしまったり、大人の生活が息苦しくなってしまったら

そのお守りを思い出して見てくださいね。

 

過去からちゃんと繋がって、今があるってことを

思い出せるはずです。

 

振り返ったら、あの頃からずいぶんと長く歩いてきたわけだし

いろんな場面を乗り越えて、今があるんです。

 

なんども転んで、ひざを擦りむいて

それでもまた立ち上がって歩いてきたから

あの頃と変わらないオリオン座を、大人の自分で見ることができるんです。

 

その旅路を振り返って、自分自身を抱きしめて、また明日に向かいましょうね。