My flower

「自分らしい花」

(410mm×318mm キャンバス/2019年制作)

 

 

身もふたもないことを言うなら

ずっと危機(クライシス)なんですよね。

 

リーマンショック・サブプライムショック・コロナ etc….

私が知ってるだけでも、何年か置きに、大きな「危機」の話題が生まれて。

しばらく経つと、やがてニュースから消えていく。

 

その繰り返しなんですよね。

 

さかのぼって歴史をひもとけば、少し前の時代は

バブル崩壊、キューバ危機、オイルショックetc…と。

 

やっぱり「危機」の繰り返しなんです。

 

でも、それを私たちはどういうわけか、毎回すっかり忘れて

新しい事態に出くわした感覚で、世を憂いてるわけなんですよね。

 

私が好きな古典に「方丈記(ほうじょうき)」という本があります。

今から800年前、鎌倉時代に書かれた本なんですけど

そこに記されている世相は、今とあまり変わりなかったりします。

 

作者の鴨長明(かものちょうめい)さんは

大きな地震の後、天変地異にみまわれて混迷する世の中で、都の生活に嫌気がさします。

やがて移動式住居というか、人ひとり住める簡易的な家を考案して

森の中で隠遁生活に入っていくんですけど。

 

この「方丈記(ほうじょうき)」の中で

鴨長明(かものちょうめい)さんが、こぼしているグチに

令和時代に生きている自分が

「あるある」的に共感できてしまうんです。。(笑)

 

地震の後で都が大変な時なのに

お偉いさんが弱者を救わずに、権力争いばかりしていて、困ってしまうとか。

 

栄枯盛衰が世の常なのに

虚栄心にとりつかれた人々の虚しさよ、オーマイガッ!とか。

 

そういうやつです。

 

シンプルで質素な森の隠居生活は

物質的な豊かさはなくても、精神的な満足度が高い

みたいなことも書かれてます。

(気になった方は、現代語訳版を探してぜひ読んで見てくださいね。)

 

 

800年前の書物なんですけど。

ずっと変わってないんです。そういう意味では。

 

人間社会は進歩して来たと思ってきたし、そう教わってきたから

この変わってなさを知った時、衝撃でした。

 

化学技術やテクノロジーみたいなある面では

進歩してると言えなくもないんでしょうけど。

 

でも基本的な部分、人が生きていく上での舞台というか

人間社会のあり様は、数百年経ってもそんなに変わらないんです。

 

 

それを知った時、なんか憑き物が落ちたような感覚があったんです。

 

逆転の発想かもしれないのですが

あー、そうか!

だから気にせず、自分の人生を精一杯生きればいいんだなって

シンプルに思えたんですよね。

 

 

ときどき思うじゃないですか。

 

時代が悪いんじゃないかって。

こんなに混迷を極めているのは、現代だからなんじゃないかって。

 

でも、実は人の世はずっと変わらず、混迷を続けているんです。

そしてそのまま何とかなって、今日まで道が続いて来ているんです。

 

だから世を必要以上に嘆かなくて、大丈夫です。

 

時代の背景は、あくまで時代の背景。

あなたの人生は、どの時代に生まれたとしても

他の人には生きられない、あなただけの特別な人生。

それを自分なりに輝かせた者勝ちなんだと、思います。

 

主人公は自分自身ですからね。

自分らしい花を、この時代に咲かせましょう!